Pocket

日常生活での歩数が10年前より減少

平成12年に策定され10年間に亘り行われてきた第三次国民健康づくり対策「健康日本21」の最終評価1)が、平成23年10月に厚生労働省より公表されました。 それによると、身体活動・運動分野において、以下の3つの結果があげられています

  1. 「意識的に運動を心がけているいる人の割合」が改善した
  2. 「運動習慣者の割合」は変わらなかった
  3. 「日常生活における歩数」は悪化した

1.と2.の結果について報告書では、“運動の重要性は理解しているが長期にわたる定期的な運動に結びついていないと考えられる。”としています。3.の結果については、“運動以外の生活活動量の減少が考えられる。”とのこと。

ここで、運動習慣者とは、信頼性の高い文献レビューから導かれた、「1回30分間以上の運動を週2回以上実施し、1年以上継続している人」と定義されています。

これは今まで運動習慣がなかった方にとっては、(効果があるのはわかりますが、)いきなり高いハードルを飛ばされるようなもの。

そこで今回は、運動実践者が少しでも増えることを祈念いたしまして、少しハードルを下げた週1回の運動効果について調べたことを紹介します。

週1回のトレーニング効果

石井の著書より

石井2)によると、

1週間に1回の頻度では「筋力は上がって落ちて元に戻るといった繰り返しで、トレーニング効果があらわれない」と一般論ではいわれますが、実はそうではなくて、1週間に1回のペースでやっていても、身体の適応は、おそらく1週間に1回やることがちょうど良いペースとなるようなサイクルに入ってくれます。実際に大学で1週間に1回の体育実技の時間にトレーニングをさせるような場合でも、きちんとやっていけば学生の筋力はかなり伸びてきます。

とのこと。

ヘティンガーの著書より

ヘティンガー3)によると、 アイソメトリックトレーニングにおいては、週1回のトレーニングは週7回トレーニングしたときの30%程度の筋力向上率が見られたとしています。

また、一定期間実践したトレーニングを中止した後の筋力の変化を調べた実験では、毎日トレーニングを行った場合、短期間でかなり向上した筋力が、トレーニングを中止すると比較的短期間に元の筋力に戻ることが観察されたのに対し、週1回のトレーニングを行った場合、筋力向上は緩やかですが、トレーニング中止後は比較的長期間かけて緩やかに減少していったことが観察されたとのこと。

内田の研究より

内田4)は、女子大学生を対象に、週1回の授業で行った8週間のレジスタンストレーニング(10種目、50%max以上で15回2セット)による周径囲と最大挙上重量の変化について報告しています。

それによると、周径囲には一部では有意差が見られたものの、全体的にはあまり効果がなかったとのことですが、除脂肪体重と最大筋力の増加が認められたそうです。

林らの研究より

林ら5)は、大学1年生の男女を対象に、授業の中で10週間に亘って、ベンチプレス、スクワット、アームカールと学生が選択した種目(マシン含む)3種目、合計6種目を10RMの負荷で(スクワットは20RM)行ったトレーニングが筋力に与えた影響について報告しています。

それによると、すべての被験者において、形態には変化をもたらさなかったものの、ベンチプレスとアームカールの1RMが10%以上増加したという結果でした。

磨井らの研究より

磨井ら6)は、男子大学生47名を対象に、週1回90分のフィットネス授業の中で、6、7週間をトレーニング期間として、運動部に所属する運動群と運動習慣のない一般群に分けてトレーニング効果を調べています。

レジスタンストレーニングの内容は、スロートレーニング3種目をそれぞれ8回を最低1セット(約10分)とウエイトトレーニング16種目(約60分)をそれぞれ70%1RMの負荷で10回を最低1セットという内容で行われました。

その結果、体重と体脂肪率は、一般群は減少したものの、運動群では有意な変化がみられず。また、全身持久力は、一般群、運動群ともに変化はなかったとのこと。さらに、筋力は一般群、運動群ともに有意な増加を示しました。(増加率に群間の差はなし)ただし効果の大きさは小さかったそうです。

まとめ

以上、現時点でわかっている週1回のトレーニング効果をまとめると、

  1. 筋力向上は緩やかではあるが認められる。
  2. 10週以内の短期間では形態への変化は認められない。
  3. 身についた筋力は比較的維持されやすい。

といったところでしょうか。

引き続き継続して調べてみたいと思います。

平成28年2月15日更新

文献

1)厚生労働省健康局総務課生活習慣病対策室(2011)『「健康日本21」最終評価』

2)石井直方著(1999)『レジスタンス・トレーニング』

3)ヘティンガー著、猪飼道夫・松井秀治共訳(1970)『アイソメトリックトレーニング―筋力トレーニングの理論と実際』

4)内田英二(2000)『女子大学生における週1回のresistance trainingによる最大挙上重量および周径囲の変化』国学院短期大学紀要第18巻

5)林直亨ら(2009)『週1回の大学授業における筋力トレーニングが筋力に与える影響』体育学研究54

6)磨井祥夫、柳川和優(2013)『週1回の授業におけるレジスタンストレーニングが大学生の筋力に及ぼす影響』広島体育学研究第39号

Pocket